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朝日の天声人語と産経の主張が補完しあっています。   

天声人語

 「メザシ」で男を上げたのは土光(どこう)敏夫さんだった。経団連の会長をつとめ、国の行政改革に熱を注いだ。晩飯をメザシですます質素な生活ぶりで「メザシの土光さん」と親しまれた風貌(ふうぼう)を、自民党の参院選公約を読みつつ思い出した▼数えると、公約の中にメザシが33あった。といっても魚ではない。「目指(めざ)し」である。「一人ひとりの雇用と所得の増大を目指し……」「待機児童解消を目指し……」「生産する喜びを実感できる農業・農村を目指します」。いろいろと夢は膨らむ▼しかし、読んでも実現への道筋は見えてこない。達成の時期が遠いものも多く、とにかく信じて任せてほしい、という印象だ。「絵に描いたメザシ」になりはしないか、不安も膨らむ▼公約の冒頭で、安倍首相は「三本の矢によって、日本を覆っていた暗く重い空気は一変しました」と自賛する。冷静に眺めれば、株価の上昇に世の中が浮かれ加減なだけではないのか。国の借金は1千兆円へと膨らみ続ける。これこそ重い現実である▼メザシの土光さんが執念を燃やしたのは「増税なき財政再建」だった。借金大国を嘆き行革を進めた。「おれは4、5年もしたら地獄の釜の底にいるだろう。君たちが日本をどう動かすか見ているぞ」と政治家や官僚に言っていた▼ところが借金は何倍にも増えてしまった。夢を並べ、公共事業に回帰し、痛み分けの負担に目隠しの公約を読むと自民党はどこが変わったのかと思ってしまう。高支持率に驕(おご)っていないか。

【主張】自民党公約 国家の再生へ具体像語れ

2013.6.22 03:08 [主張]

 自民党が発表した参院選公約は、アベノミクス推進を軸に与党として取り組むべき内外の喫緊の課題を列挙している。

 ただ、それらをどう実現するのか。具体的な手法を伴い、国民との約束として説得力あるものになっているかといえば、はなはだ疑問である。国家再生へのメニューとして物足りなさは否めない。

 その要因は、安倍晋三首相の安全運転ぶりが公約に強く表れたためではないか。「ねじれを解消してこそ、政治の安定が実現できる」とし、参院選勝利が政権の最重要課題となっているのは分かるが、その上で何を実現しようというのか、明確にすべきだ。

 首相は今後も論戦を通じて、日本の国家像を語ってほしい。

 安全運転ぶりを物語るのは、憲法改正の発議要件を衆参各院の総議員の「3分の2以上」から過半数に緩和する96条の先行改正の方針を明記しなかったことだ。

 「自民党はまず96条から始める」と首相が唱えてきたのは、今の憲法では日本の平和と安全を守り抜けないという危機感からだろう。自らの生存と安全を他国に委ねている前文が象徴する。

 憲法改正を求める民意を反映させるため、国会の発議要件の高いハードルを引き下げるのは極めて妥当だ。参院選の争点とすることで国民の理解を深めるべきだ。

 金融緩和と財政出動、民間投資を喚起する成長戦略というアベノミクスの「三本の矢」を一体的に推進すると訴えた。持続的な成長を図るためには、アベノミクスへのさらなる信認を得る必要があり、それには成長戦略の追加策が欠かせない。

 公約には「大胆な法人税の引き下げ」も盛り込まれたが、先の衆院選公約を踏襲したにすぎない。先進国の中で高い法人税の実効税率について、具体的な引き下げ目標を示すなど、企業の国内投資を促す政策の提示が求められる。

 選挙公約と「総合政策集」の使い分けも気になる。政策集では、TPPで「聖域」を確保できなければ「脱退も辞さない」とした。反対派への配慮だろう。

 米軍普天間飛行場の移設問題では、名護市辺野古への移設推進を公約に明記した。だが、沖縄県連が地域版公約で「県外移設」を主張していることを事実上黙認している。自民党として課題実現への本気度が問われかねない。

by magome2007 | 2013-06-22 06:25 | Trackback | Comments(0)

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